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3人家族  その7 [3人家族]

第21話
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健(あおい輝彦)が合格した第二志望の大学の入学手続きの締め切りは今日。
耕作(三島雅夫)から13万5千円の入学金を手渡された健は悩む。
第一志望の合格発表は明日なのだ。

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耕作「何だ、待ってたのか(笑)」
雄一「ここまで来たら、お父さんが何を忘れたか分かったよ(笑)」
耕作「何だ」
雄一「健の入学金でしょ?」
耕作「お前も気にしてたのか(笑)」
雄一「ひどい話だね。片方が合格を発表する前に、片方が入学手続きを
    閉めきっちゃうんだから」
耕作「大学も商売って訳だ。理事会も揉めるさ(笑)」
雄一「やっと健も大学生か・・・」
耕作「最後のひとつが受かってると良いがなあ(笑)」
雄一「うん」

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健 「13万5千円か・・・。」
今日、第二志望の大学の手続きをしないで、もし明日の第一志望が不合格ならまた
浪人なのだ。
だが耕作も定年を迎えるし、この金額は大きい。

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恋人として会うのでは無く、友人として会うのだという言い訳ができると
雄一と敬子は以前よりずっと気軽に会うことが出来た。
あと2ヶ月足らずで最低2年間は会えなくなるのである。
恋人に成り様が無いではないか。
友だちとして会っているのだ。
雄一も敬子もそう言い聞かせながらしばしば気持ちのままに誘い合うのであった。
(ナレーション:矢島正明)


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昼休みに公園でアイスクリームを頼む二人。

雄一「春だなあ」
敬子「本当」
雄一「あなたが一番、春らしいや」
敬子「ま、それどういう意味?」
雄一「あなたの周りが一番、ぽかぽか。 ははっ(笑)」
敬子「馬鹿みたい?(笑)」
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午後からの仕事に遅れないように、腕時計を外してテーブルの見える位置に置く2人。
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雄一「(店員に)ねえ!アイスクリーム急いで急いで!」
敬子「いやですそんな声出しちゃ」
雄一「いや、これは失礼。 ついお里が出ちゃって。へへっ(笑)」
敬子「お里はどちら?(笑)」
雄一「お里は、遠州浜松在!」

  笑い転げる敬子。

雄一は自分でも不思議であった。
こんなにはしゃげる自分が意外でもあり嫌では無かった。

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敬子も雄一の明るさが思いがけなかった。
「いい人なのだ。 本当はこんな風に明るい人なのだ。」
ようやく春めいた昼の日差しの中で二人は先の事を忘れ今の楽しさだけを
忙しく求めていた。

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悩んで結局、第二志望の大学の入学手続きをしなかった健たが・・・。
明子「あめでとう! 受かってたわ」
無事に第一志望の大学に合格。

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健 「おばさん! 受かったよ!」
ハル「まあ! まあ!」
健 「ありがとうおばさん!ありがとう!」
ハル「坊ちゃん、おめでとう(涙)」
健 「くっ・・・(涙)」

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薬屋の洋子が祝いに来るが、明子は「遠くに離れている事が振った方の礼儀」
と非難する。

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雄一の外国への留学。 健の合格。
柴田家の一段落の夜であった。
息子の成長は確かに一つ一つ耕作の肩の荷を下ろした。
しかし定年を控えた耕作には一人立ちして行く子どもたちの姿は
そのまま自分から離れていく姿としても映った。
こんな嬉しい夜にも奈落に落ち込むような孤独が耕作の心を時折かすめるのであった。


第22話
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日曜日、横浜に出かけるという雄一が着ているセーターを見て健は羨ましがる。

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一人で元町へ出かける、と敬子が言った時、沢野からドライブの誘いの電話が。

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二年間も会えないのに愛だの恋だの言ってはいけない、と雄一を非難する沢野。

「本心を言えば、ドライブには行かせたくない」と言い沢野は去って行った。

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恋というものには醜い一面があるのかも知れなかった。
雄一は父親の孤独に目をつぶって家を出た。
敬子は明子の求めを撥ね付けて家を出た。
そして二人で沢野の感情を突き放した。
そうしなければこのドライブは出来なかった。
そんな事が二人の心を妙に弾ませなかった。
(ナレーション:矢島正明)


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敬子「本当に良いセーター!」
雄一「待ってたんですよ、いつ言うか(笑)」

ファッションモデルの様に敬子の前でクルッと回って見せる雄一(笑)
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サマになっている雄一を見て
「お上手! 道を誤ったんじゃありません?」とからかう敬子。
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タバコに火が点かない雄一を見て
「あら・・・風・・・」とコートのエリで風を避ける敬子。
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雄一「ありがとう。 行きましょうか」

「行きましょうか」と言い、「ええ」と答えながら二人は今日のドライブの行き先に
ついて何も話していなかった。
二人ともそれに触れるのを避けているかのように、どこへ行くかを話さなかった。
車が勝手に来た、というような感じでここまで来た。
運転する雄一自身、何かに操られているような気持ちであった。

芦ノ湖を右手に観たが芦ノ湖へは降りなかった。
富士山、駿河湾を見下ろす道を車は伊豆に向かっていた。

雄一はただ遠くへ行きたいという思いに駆られていた。
芦ノ湖へ降りればそこがドライブの終点になるような気がした。
それが嫌でこの道を選んだ。

敬子は口を挟まず逆らわなかった。
雄一の感情が感染るのだろうか?
同じように敬子もいつしか遠くへ行きたいという思いに囚われていた。

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雄一は休まずに走った。
遠くへ走ることで何物かを振り捨てる事が出来るかの様に走った。
自分を縛っている野心や分別、仕事・気後れ、多くの物から離れることが
出来るかのように走った。

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雄一「帰らなくちゃいけないな」
無言で砂浜を歩く敬子。

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夕飯が五時からと聞いて五時まで待った。
帰る時間が遅くなることは分かったが、もう二人ともその事には触れなかった。
黙って海を見て待った。
みるみる時間が経つ思いだった。
甘い沈黙の時間であった。

食事を終えたのは六時に近かった。
外へ出ると、夜であった。

もちろん、家へ電話を掛けた方が良かった。
敬子はしかし二人の時間の中で、家の者の声を聞くことが何故か頑なに嫌であった。

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雄一「馬鹿に黙っちゃったな」
敬子「そうですね。 何かお話しましょうか?」
雄一「お母さんに叱られますね、今日は」
敬子「平気です、そんなこと」
雄一「本当に随分遠くまで来ちゃったな」
敬子「でも楽しかったわ」
雄一「ラジオでも点けましょうか?」
敬子「いえ、このまま。 このまま車の音だけの方が」

雄一「じゃあ、何か喋って下さい。 何でもいい」
敬子「ふふっ・・・。困るわ。上手じゃ無いんですおしゃべり」
雄一「そうだな・・・あなたの夢は何ですか?」
敬子「夢?」
雄一「これからしたい事ですよ。女の人ってどんな夢を見るんだろう?」
敬子「・・・(困惑)」

マズイ事を言った、と雄一は思った。
自分たちが避けていた話題ではないか。
敬子もつい口を閉ざした。
夢を語って二人の恋に触れぬ事は出来ないのだ。

横浜に着くと十一時を過ぎていた。 少し寒かった。

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雄一「じゃあまた。今日は本当にありがとう」
敬子「楽しかったわ・・・ありがとうございました」

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初めて抱擁しあう二人。
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いっぷく

この頃の栗原小巻はサイコーでした。

by いっぷく (2013-03-14 05:25) 

pandan

昔のドラマいいですね〜
by pandan (2013-03-18 05:06) 

k_iga

番組を途中から観た人のために?
BS11 2013/04/04から再放送開始
毎週木曜日 19:00〜19:57(2話ずつ) 

もっと多くの人に観てもらいたい名作です。

by k_iga (2013-03-20 20:22) 

mineraltaka

初めまして。
こんなに素敵なブログに出会えて感激です。

「三人家族」は初放送を25才の頃に見ました。
当時コマキストの自分は、栗原小巻を理想の
結婚相手、このドラマをバイブルと決めました。

結婚して40年経過し、再放送を見るとバイブル
の輝きは今も変わりません。名作だと思います。

その8を楽しみにしています。栗原小巻の写真が
少しでも多いことを願っています。


by mineraltaka (2013-04-21 22:05) 

k_iga

「その8」も途中まで書いてあるんですが。
写真もどのシーンの表情にしようか迷ったり、脚本が素晴らしいので
セリフやナレーションもどれにするか時間がかかっています。
それだけ密度の濃い、すばらしい作品だということですよね。

by k_iga (2013-04-23 01:52) 

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