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3人家族  その2 [3人家族]

第7話
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11月17日(日)、健(あおい輝彦)は明子(沢田雅美)・敬子(栗原小巻)と江ノ島へ。
雄一(竹脇無我)は海外留学試験。

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試験後、同僚と「人間の価値は何で決まるか?」と話し合う。

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耕作「他人の気持ちにどこまでなれるか?という事じゃないかな」。
雄一「思いやりか・・・」。

健が今日会った友人の姉がすごい美人で気持ちのいい人だった、と話すが
雄一は「浪人のくせにキャメラを持って江ノ島か」と呆れる。

第8話
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お手伝いのハル(菅井きん)が昼飯にビフテキを作り、1枚200円か、と健はボヤく。
待望の電話が設置され、喜ぶ健。(当時の200円は現在の600円くらい?)

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健 「良いでしょ?」
雄一「! お前、こ、これ・・・」
健 「へへへ、驚いたでしょ?」
雄一「誰だ、この人!」
健 「オーバーだな、友だちのお姉さんですよ」
雄一「友だちの!?」

いったい、これはどういう訳なのだ?と雄一は思った。
もちろん偶然だ。
しかしこれほど度重なる偶然がこの世にあるものだろうか?

街で幾度も会った。 電車の中でも会った。
そして確かに心を惹かれた。
しかし雄一はそれ以上、彼女に近づこうとはしなかったのだ。

それがどうだ。
またしても偶然が、彼女を彼に引き合わすのだ。
まるで神のしわざ、いや、神のいたずらではないか。   (ナレーション:矢島正明)

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健 「でもさ、気に入ったんなら会ってみたら?」
雄一「会って・・・どうするんだ?」
健 「結婚さ」
雄一「馬鹿!そんな暇があるか!」
健 「だからヤになるよ、兄さんは」

雄一「とにかく、コースに乗るまでは仕事以外のことは考えないんだ」
健 「コースって、出世コース?」
雄一「そうさ。サラリーマンだからな俺は」
健 「何だか知らないけど、もったいないと思うけどな僕は」
雄一「女なんていくらだっているさ。」
健 「そうかな~? こんな人、滅多にいないよ? ほら(と、写真を雄一に見せる)」
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雄一「うるさいなお前は! 何だよこんなの!」
健 「んな事言いながら見とれてんじゃん(笑)」
雄一「ニラんでるんだよ、(写真を放って) こんな女!」

雄一「会ってたまるか、こんなのに!」

 ♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

言葉と裏腹に、雄一は彼女に会いたいと思っていた。
「変な痩せ我慢は止めようではないか」もう一人の雄一がささやくのだった。

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「そうだ、やっぱり会ってみよう」
会って、本当に素晴らしい人かどうか、確かめてみるのだ。
それでなければ彼女の美しさが心の中に拡がるばかりだと雄一は思った。


3人家族 (1968/10/15~1969/04/15) その1 [3人家族]

BS12 https://www.shochiku-tokyu.co.jp/program/11446//

「3人家族」(全26話)
竹脇無我さんが2011年8月21日に亡くなられました(満67歳没)。
ご冥福をお祈りします。
竹脇無我さんのドラマで好きだったのはTBS「木下恵介アワー」の「3人家族」。
土曜日の昼の再放送をよく観ていました。
(キャスト)
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横浜に住む商社マン(竹脇無我)と航空会社勤務の女性(栗原小巻)が街で
度々出会ううちにお互いに心惹かれ合うのですが。

第一話
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街で行きずりに美しい人を見る。
あなたが女ならどんな男性に目がとまるのだろうか?
しかし誰もそれを大げさに考えはしない。
それだけの事。 
十歩も歩けば忘れてしまうこと。
好ましい人。 若々しい男。 
しかし見知らぬ人。 
二度と逢う事もなく。
だが、彼女だけは例外だった。
彼女だけは・・・。 (ナレーション:矢島正明)

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 ♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

奇妙な偶然だが、雄一は短い間にその女性を3度観たのである。
ちらりと見たに過ぎない3度の偶然。
雄一の記憶には意外な根強さで残っていた。

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第3話ラスト、新橋でのスレ違い。 観ていて思わず「ああっ!」と声が。
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2人が初めて会話をするのが何と第4話のラスト! 満員電車の中(笑)。
さすが山田太一の脚本、焦らせるじゃあありませんか。
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そしてあの朝が来た。
敬子と雄一が初めて言葉を交わした、あの朝が来たのだった。

雄一「あっ!」
敬子「!」

 ♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

雄一「混みますね、毎日」
敬子「本当に」

奇妙な出会いであった。
行きずりに幾度か遠く目にした相手と、いきなり抱き合うようにして
向き合っていることがおかしかった。     (ナレーション:矢島正明)


第5話
雄一の前に彼女の髪があった。
微かな香料と、娘の髪の甘い匂いが優しく彼を包み込んだ。
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敬子は背広の匂いがすると思った。
ナフタリンとタバコの匂いが、彼女を混雑から控え目にかばっていた。
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川崎から品川までの12分間、二人はほとんど動かず口も利かなかった。
雄一は心に何か急き立てるものを感じていた。

黙っていていいのか? 何も言わずに終わっていいのか?

しかし話しかけてどうなるというのだ?
自分は今、忙しいのだ。
気に掛かる人など出来て気が散るのは困るのだ。

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品川ではかなりの人が降りた。
車内は大分、ゆとりが出来たが雄一は敬子との距離をあまり開かなかった。

敬子はそれが嫌ではなかった。
それにしても、この青年は何と無口なのだろう?
内気なのだろうか? 普通の若い男性はこんなものなのだろうか?

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敬子「お降りになるのは、新橋?」
雄一「ええ」
敬子「まえに新橋で・・・」
雄一「そうでした。 乗り損なった電車に、あなたが乗ってましたね。
    その前にも何度かお会いしました。・・・本当に何度も」
敬子「ええ」

今日で五度目だと敬子は思った。

雄一「今日が七度目だな」
敬子「そんなに?」
雄一「確かに七度目」
敬子「誰かのいたずらみたいに何度も」
雄一「ええ」
敬子「どうしたんでしょう? こんなにお会いするなんて」

応えが無かった。

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敬子はその沈黙に自分を拒む意志のようなものを感じた。

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雄一は自分を抑えていた。
会話がたちまち恋のやりとりめいて来る事に驚いていた。

いけないいけない、今月の17日には留学試験の第一次、
試験に合格すれば独身が条件の2年間の海外生活。
それだけが今の自分の目標なのだ。

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敬子「お勤めどちらなんですか?」
雄一「田村町です」
敬子「あたし霞ヶ関です」
雄一「はぁ」
敬子「またお会いするかしら?」
雄一「さあ・・・、会うでしょう、近いから」
敬子「そうですねきっと」
雄一「じゃあ」
まるで逃げるように足早に去る雄一。
敬子「・・・」

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「私なんか眼中に無いのかしら? 好きな人がいるのかしら?」
あの青年の事ばかり考えてしまう自分が腹立たしかった。
翌日から車両を変えてしまう敬子。

彼女は怒っているだろうか?と、雄一は思った。
しかし、他にどうしようがあったろう?
あのまま甘い会話のやりとりを続ければ
自分は次に会う日を約束してしまったかも知れない。

美しい人だ。
だが、今、恋愛は困るのだ。 試験があるのだ。 留学があるのだ。

そう思いながら昼休みになると雄一の足は霞ヶ関の方へ向かっていた。
彼女は勤め先を霞ヶ関だと言った。
官庁だろうか? どこかの会社の秘書だろうか? あるいは洋装店のデザイナー?

雄一には見当が付かなかった。
女の人を知らなかった。
どこへ置いても彼女は似合うような気がした。

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一体、自分は何をしているのだ、と雄一は思った。
初めて言葉を交わした女性に冷淡な態度を取ったからといって
それが何なのだ。
もう一度会ってどうするというのだ。
昨日は冷たくしてごめんなさい、などと言ったら彼女は何の事か分からず
笑い出すかもしれないではないか。

どうしたというのだ。 なぜこんなに彼女の事が頭を占めるのだ。
今はそれどころでは無いのに。 試験なのに。
いわばビジネスマンとしての一生に関わる試験があるというのに
この気の散り方はどうしたんだ。

第6話
昼休みに同僚の孝子(原田あけみ)を誘って日比谷公園に来た敬子。
「名前も勤め先も住まいも知らない」と言う敬子に「若くてハンサムなのね」と
見抜く孝子。
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雄一「!」

♪ラーラーリリー、ラララリー、ラーリーララー・・・♪

まずい時に会った、と雄一は思った。
明後日なら声を掛けに立ち上がるだろう。
しかし今日は困る。
明日の試験を前にして、彼女の事で頭が一杯になるのは困るのだ。

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大袈裟に聞こえるかもしれないが、この世にあれ程、美しい人がいるのに
ソッポを向いて勉強に励む事が、ひどく虚しい気がするのだった。

敬子も青年の事を考えていた。
忘れる事に決めたはずなのに、何故、自分は今日、田村町へ足を向けたのだろう。
そう、敬子にも心の飢えがあるのだった。         
穴の空いたような寂しさが、絶えず心の隅にひっそりとあるのだった。
(田村町=現在の港区西新橋)
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二枚目で渋い声の竹脇無我と、それこそ花のように可憐な栗原小巻。
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私は小学校低学年でしたが、このドラマで当時の言葉でいうところのコマキストに
なりました。
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そして森繁久彌と父子を演じた人気シリーズ「だいこんの花
(1970年10月22日‐1970年12月24日)。
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(ノートに貼ってあった最終回の写真)
息子の誠(竹脇無我)の妻(いしだあゆみ)の妊娠が分かり、忠臣(森繁久彌)の
つぶやいたセリフ。
「一人の人間が年老いて、もう生きることにあきるころに、
                   次の命が芽生えてくるんだね」。
こちらの脚本の向田邦子もさすがです。

P.S.
nsa さんに教えて頂きました。「3人家族」DVD-BOXが発売されるようです。





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