彼女のおでこにキス

中学2年の春に、転校してきた英語の得意な女の子と
何故か交換日記をすることになった。　席も近かったし話もよく合った。

中身は観たドラマの事とか好きな歌手とか他愛ないものでしたが
翌日、日記をクラスメイトの目を盗んで相手の机に入れるのは中々スリルがありましたっけ。

この中学の歴代の先輩たちが「ささやきの小径」と名付けた道をを通って
学校から一緒に帰ったり、夏休みに体育館の部活動を見ながら
２人でソーダ味の青いアイスキャンディを食べたりしました。

地形に段差があったので、渡り廊下というか橋を渡った右側が土曜日の実験室（理科室）。
現在は全て取り壊されて新校舎になっています。


けれど中学2年の終わりに今度は私が引っ越す事になりました。
ギリギリまで言わなかった事で彼女は怒っていたので放課後の音楽室で話す事に。

泣いちゃった彼女に「ゴメン」と手を伸ばして握手した。
自然と抱きしめる形になり、彼女のおでこにキスをした。
すごくぎこちなくて自分がロボットになった気がしました。

（すっかり忘れていて、「時をかける少女」を観て、涼太が芳山あかりのおでこにキスするシーンで思い出しました。）

彼女がくれた「青い鳥」の像。幾度の引っ越しにも壊れずに今も本棚の片隅に。



3月の最後の下校時、薄暮の中を校門へ向かって歩いていると
校舎の2階の教室から「○○クン、元気でね」と、彼女の声。

見上げると残っていたクラスの女子が集まって来て窓から身を乗り出して
「○○クン、元気でね～」「○○クン、さようなら～」と皆で手を振ってくれました。
あの年頃の女の子の「○○クン」という言い方には
独特の甘酸っぱさがありましたね～。

P.S.
バレンタインデーに彼女がくれた大きなハート型のチョコは
冷凍庫に入れている間に兄と弟に半分ほど食べられてしまいました（悲）。