3人家族 その9 [3人家族]
第24話
アラスカにいる別れた夫・憲一(森幹太)からの手紙に動揺するキク(賀原夏子)。
復縁を求める夫の自分勝手に腹を立てるというよりは、
そんな男の勝手を許しかねない自分の孤独に腹を立てていた。
(ナレーション:矢島正明)
深夜に帰宅したキクを敬子が起きて待っていた。
敬子「・・・やっぱり、柴田さんがいいの」
母親らしく敬子の気持ちに気づいていたキクだが、娘たちが離れて行って
しまうような寂しさもあり、敬子と口論になってしまう。
キク「2年間、待て、ってのかい? いっぺんも会わずに2年間?」
敬子「待て、っていうんじゃないのよ。 待つ、ってあたしが言ったの」
キク「馬鹿っ!」
敬子「馬鹿でもいいの。好きなんだからいいの。」
敬子と雄一の事で耕作(三島雅夫)の会社を訪ねたキクは今日で耕作が定年と知る。
身の回りの不用品を焼却していた耕作はキクの訪問に驚く。
キク「お宅の御長男とうちの娘、とうとう、約束しちゃいました」
耕作「ええ!」
キク「定年の日にこんな事言いたくありませんけど、
2年間、日本を離れるって人がどうして土壇場でそんな約束なんか
するんでしょう?
もうちょっとの間、自分を抑えててくれれば娘だって諦めたんじゃな
いかと思って」
耕作「そうですか、約束をねぇ」 嬉しそうな耕作。
キク「今更いけないって言ってみたって言う事を聞くような2人じゃなさそうですし
せめてあの、口約束だけで、それ以上の事は無いように、あの、あなたの
方からも、あの・・・」
耕作「そりゃそうですとも。そんな事はもちろん雄一だって知ってますよ。
や、私からも言っておきましょう」
耕作「約束をねぇ・・・」 感慨深げな耕作。
キク「親なんてつまんないもんですねぇ。下の娘だってもう19ですもの。
じきに結婚してどっか行っちゃう。そうすれば、私は死ぬまで一人・・・」
耕作「はっはっはっ。しかしまあ、子供がいた事で楽しい思いもしたんだから・・・」
お互いの誤解もわだかまりも解けた良いシーンでした。
敬子「・・・だからたぶん今日か明日、母がお訪ねすると思うけどあなたを」
雄一「話してみるよ、よく」
敬子「母がまた強い事言っても、撤回しちゃいやよ約束」
雄一「はは(苦笑)、信用無いんだな」
敬子「そう、信用してないの。
あなた仕事半分・恋愛半分、一緒だもん」
雄一「はは(苦笑)、悪いの選んじゃったな」
敬子「でもいいの。 そういう人だからあなたが好きなの」
雄一「大きいよ、声が」
敬子「あら、好きな人、好きだって言うの・・・」
雄一「分かった。(周囲を見回し)すごいよ、この頃の女性は」
父に「アラスカに来い」と言われてる、と言う明子に「父を訪ねて三千里か」などと
健が言っていると
明子「ねえ、あたしの事、どのくらい好き?」
健 「え?どのくらいって・・・」
明子「好き・恋してる・愛してる・死ぬ程愛してる、この内どれ?」
などと詰問され、こちらも押され気味。
社員食堂で100円のカツ定食を食べる耕作とキク。
社食のいつもの席で会う社員に今日で定年である事を告げると
その場の全員から声を掛けられる。
「課長、お元気で!」 「課長、お元気で!」
「ありがとう・・・ありがとう」 今回のクライマックス・シーン。
その夜。
37年間、同じ道を通った工場だもんな、と耕作が感慨に耽る。
耕作「とにかく課長にしてくれたもの、定年の前の年にもせよ。
別れる時にはみんな「課長、お元気で」だからな」
雄一「うん」
耕作「お父さんの時代は終わったよ。今度はお前たちだ」
雄一「気の弱い事、言わないでよ」
健 「そうだよ、平均に生き延びたって、あと14年は生きるんだよ?」
雄一「馬鹿っ。14年で死んでたまるか」
健 「あっ、そりゃあそうだけど、失言だったなこりゃあ」
耕作「はっはっはっは」
耕作「雄一」
雄一「ん?」
耕作「エジプトへ行く前に、一度、お父さんに会わせろよな」
雄一「誰を?」
耕作「誰を?ってことは無いだろう」
健 「そうだよ兄さん、今になって白ばっくれること無いよ」
雄一「(健に)何だよ?」
健 「お嫁さんさ」
雄一「馬鹿っ」
耕作「決まったそうじゃないか」
雄一「え?」
耕作「約束したんだってな」
雄一「そんな事、誰に聞いたんです?」
と言いつつ、動揺して徳利の酒を倒してしまう雄一。
「あ~、ダメだよ兄さん」などと慌てて布巾で拭く健。
しかし健は雄一に「馬鹿っ」と言われながらも良くアシストしますね。
今度、全話を通して雄一が健に何回「馬鹿っ」っと言ったか数えてみよう(笑)
雄一「知ってたの?お父さん」
耕作「うん、今日、会社へお袋さんが来たよ」
雄一「会社へ?
何て言った?お父さんに」
耕作「今更どう叱ってみたって仕方が無いって言ってな、怒っていたよ」
雄一「そうか・・・お父さんの所、行っちゃったのか」
健 「僕の方は妹からの情報でね。
とにかく兄さんが何やったって筒抜けなんだから。へへっ。」
雄一「悪かったよ。言おう言おうと思ってたんだけど」
耕作「うん」
雄一「こんな時に結婚の話なんて、正直言って困るんだけど
あの人を他の人に取られるのは、やっぱり嫌なんだ」
健 「抜け抜け言うね、兄さんも(笑)、ははっ」
雄一「向こう行ってろ! お前は!」
健 「そりゃヒドイよ! 僕だって随分心配したんだからね」
耕作「とにかく、会いたいもんだな一度」
雄一「ええ」
耕作「他の事はお前を信用して何にも言わん」
雄一「大丈夫だよ。僕だっていろいろ考えた上だから」
耕作「ああ」
健 「おめでとう、って言うのかね?」
耕作「そりゃそうさ、縁談だもの」
健 「はははっ。 兄さん、おめでとう」
雄一「ふん。大人をからかうんじゃないよ」
定年の夜、息子の婚約を聞く。
とうとう自分にもそんな役割りが回って来たか、と思いながら
まだ耕作にはその役割りが馴染めない気持ちであった。
とにかく子供をここまで育てた。
後は自分の生きたいように生きる。
冒険もしてみよう。 楽しんでもみよう。
傍目には滑稽かもしれないが、そんな欲望がまだ耕作の心に残っていた。
いや、定年になってみて改めてそんな欲望に目覚めたような気持ちであった。
(ナレーション:矢島正明)
柴田家へのわだかまりが解けて、キクと敬子も和やかな雰囲気に。
キク「だからお母さん、もう何にも言わない。
良いようにやりなさい。お前を信用する他ないもの」」
敬子「ありがとう」
明子「良かったね、お姉さん」
キク「いきなり2年間会えないなんて大変な事だよ」
敬子「貯金下ろせばエジプトくらい何とか行けるわ。」
キク「何とかったってお前・・・」
敬子「航空会社、勤めてるのよ?
2年間全然会わないなんてそんな事、絶対しないわ」
明子「あ、成る程ね。それでなきゃいくら好きでもね」
キク「一度、連れてらっしゃい。お母さんも話したいの」
敬子「(笑顔)ええ」
だが話が夫・憲一の事に及ぶと頑なになってしまうキク。
母親である自分だけでは不足だったのか、と強い口調になってしまう。
明子「お父さん。帰って来て下さい。
明子だってお姉さんだって、もちろん、お母さんが一番、
お父さんのお帰りを待っているんです」
Thanks to にわかコマキスト 様
アラスカにいる別れた夫・憲一(森幹太)からの手紙に動揺するキク(賀原夏子)。
復縁を求める夫の自分勝手に腹を立てるというよりは、
そんな男の勝手を許しかねない自分の孤独に腹を立てていた。
(ナレーション:矢島正明)
深夜に帰宅したキクを敬子が起きて待っていた。
敬子「・・・やっぱり、柴田さんがいいの」
母親らしく敬子の気持ちに気づいていたキクだが、娘たちが離れて行って
しまうような寂しさもあり、敬子と口論になってしまう。
キク「2年間、待て、ってのかい? いっぺんも会わずに2年間?」
敬子「待て、っていうんじゃないのよ。 待つ、ってあたしが言ったの」
キク「馬鹿っ!」
敬子「馬鹿でもいいの。好きなんだからいいの。」
敬子と雄一の事で耕作(三島雅夫)の会社を訪ねたキクは今日で耕作が定年と知る。
身の回りの不用品を焼却していた耕作はキクの訪問に驚く。
キク「お宅の御長男とうちの娘、とうとう、約束しちゃいました」
耕作「ええ!」
キク「定年の日にこんな事言いたくありませんけど、
2年間、日本を離れるって人がどうして土壇場でそんな約束なんか
するんでしょう?
もうちょっとの間、自分を抑えててくれれば娘だって諦めたんじゃな
いかと思って」
耕作「そうですか、約束をねぇ」 嬉しそうな耕作。
キク「今更いけないって言ってみたって言う事を聞くような2人じゃなさそうですし
せめてあの、口約束だけで、それ以上の事は無いように、あの、あなたの
方からも、あの・・・」
耕作「そりゃそうですとも。そんな事はもちろん雄一だって知ってますよ。
や、私からも言っておきましょう」
耕作「約束をねぇ・・・」 感慨深げな耕作。
キク「親なんてつまんないもんですねぇ。下の娘だってもう19ですもの。
じきに結婚してどっか行っちゃう。そうすれば、私は死ぬまで一人・・・」
耕作「はっはっはっ。しかしまあ、子供がいた事で楽しい思いもしたんだから・・・」
お互いの誤解もわだかまりも解けた良いシーンでした。
敬子「・・・だからたぶん今日か明日、母がお訪ねすると思うけどあなたを」
雄一「話してみるよ、よく」
敬子「母がまた強い事言っても、撤回しちゃいやよ約束」
雄一「はは(苦笑)、信用無いんだな」
敬子「そう、信用してないの。
あなた仕事半分・恋愛半分、一緒だもん」
雄一「はは(苦笑)、悪いの選んじゃったな」
敬子「でもいいの。 そういう人だからあなたが好きなの」
雄一「大きいよ、声が」
敬子「あら、好きな人、好きだって言うの・・・」
雄一「分かった。(周囲を見回し)すごいよ、この頃の女性は」
父に「アラスカに来い」と言われてる、と言う明子に「父を訪ねて三千里か」などと
健が言っていると
明子「ねえ、あたしの事、どのくらい好き?」
健 「え?どのくらいって・・・」
明子「好き・恋してる・愛してる・死ぬ程愛してる、この内どれ?」
などと詰問され、こちらも押され気味。
社員食堂で100円のカツ定食を食べる耕作とキク。
社食のいつもの席で会う社員に今日で定年である事を告げると
その場の全員から声を掛けられる。
「課長、お元気で!」 「課長、お元気で!」
「ありがとう・・・ありがとう」 今回のクライマックス・シーン。
その夜。
37年間、同じ道を通った工場だもんな、と耕作が感慨に耽る。
耕作「とにかく課長にしてくれたもの、定年の前の年にもせよ。
別れる時にはみんな「課長、お元気で」だからな」
雄一「うん」
耕作「お父さんの時代は終わったよ。今度はお前たちだ」
雄一「気の弱い事、言わないでよ」
健 「そうだよ、平均に生き延びたって、あと14年は生きるんだよ?」
雄一「馬鹿っ。14年で死んでたまるか」
健 「あっ、そりゃあそうだけど、失言だったなこりゃあ」
耕作「はっはっはっは」
耕作「雄一」
雄一「ん?」
耕作「エジプトへ行く前に、一度、お父さんに会わせろよな」
雄一「誰を?」
耕作「誰を?ってことは無いだろう」
健 「そうだよ兄さん、今になって白ばっくれること無いよ」
雄一「(健に)何だよ?」
健 「お嫁さんさ」
雄一「馬鹿っ」
耕作「決まったそうじゃないか」
雄一「え?」
耕作「約束したんだってな」
雄一「そんな事、誰に聞いたんです?」
と言いつつ、動揺して徳利の酒を倒してしまう雄一。
「あ~、ダメだよ兄さん」などと慌てて布巾で拭く健。
しかし健は雄一に「馬鹿っ」と言われながらも良くアシストしますね。
今度、全話を通して雄一が健に何回「馬鹿っ」っと言ったか数えてみよう(笑)
雄一「知ってたの?お父さん」
耕作「うん、今日、会社へお袋さんが来たよ」
雄一「会社へ?
何て言った?お父さんに」
耕作「今更どう叱ってみたって仕方が無いって言ってな、怒っていたよ」
雄一「そうか・・・お父さんの所、行っちゃったのか」
健 「僕の方は妹からの情報でね。
とにかく兄さんが何やったって筒抜けなんだから。へへっ。」
雄一「悪かったよ。言おう言おうと思ってたんだけど」
耕作「うん」
雄一「こんな時に結婚の話なんて、正直言って困るんだけど
あの人を他の人に取られるのは、やっぱり嫌なんだ」
健 「抜け抜け言うね、兄さんも(笑)、ははっ」
雄一「向こう行ってろ! お前は!」
健 「そりゃヒドイよ! 僕だって随分心配したんだからね」
耕作「とにかく、会いたいもんだな一度」
雄一「ええ」
耕作「他の事はお前を信用して何にも言わん」
雄一「大丈夫だよ。僕だっていろいろ考えた上だから」
耕作「ああ」
健 「おめでとう、って言うのかね?」
耕作「そりゃそうさ、縁談だもの」
健 「はははっ。 兄さん、おめでとう」
雄一「ふん。大人をからかうんじゃないよ」
定年の夜、息子の婚約を聞く。
とうとう自分にもそんな役割りが回って来たか、と思いながら
まだ耕作にはその役割りが馴染めない気持ちであった。
とにかく子供をここまで育てた。
後は自分の生きたいように生きる。
冒険もしてみよう。 楽しんでもみよう。
傍目には滑稽かもしれないが、そんな欲望がまだ耕作の心に残っていた。
いや、定年になってみて改めてそんな欲望に目覚めたような気持ちであった。
(ナレーション:矢島正明)
柴田家へのわだかまりが解けて、キクと敬子も和やかな雰囲気に。
キク「だからお母さん、もう何にも言わない。
良いようにやりなさい。お前を信用する他ないもの」」
敬子「ありがとう」
明子「良かったね、お姉さん」
キク「いきなり2年間会えないなんて大変な事だよ」
敬子「貯金下ろせばエジプトくらい何とか行けるわ。」
キク「何とかったってお前・・・」
敬子「航空会社、勤めてるのよ?
2年間全然会わないなんてそんな事、絶対しないわ」
明子「あ、成る程ね。それでなきゃいくら好きでもね」
キク「一度、連れてらっしゃい。お母さんも話したいの」
敬子「(笑顔)ええ」
だが話が夫・憲一の事に及ぶと頑なになってしまうキク。
母親である自分だけでは不足だったのか、と強い口調になってしまう。
明子「お父さん。帰って来て下さい。
明子だってお姉さんだって、もちろん、お母さんが一番、
お父さんのお帰りを待っているんです」
Thanks to にわかコマキスト 様
この前BSで「二人の世界」やってたのを見ました。webではこの話のその後とか(?)というのを見ましたが共通してるのは出演者だけでキャラ設定もストーリーも全然違いましたね。
それにしても栗原小巻は美人だなぁ(笑)
by 某北海道の人 (2013-09-29 21:42)
ご無沙汰しております。
BS11での「二人の世界」の再放送も終わっちゃいましたね。
竹脇無我と栗原小巻は本当にベストカップルだと思います。
「3人家族」の記事は人気があって、View数は合計で1万人を超えました。
by k_iga (2013-09-30 06:49)
「3人家族」最終回の記事を待っていました。全話がどれも素敵な構成ですね。しみじみと拝見しました。BS放送の『二人の世界』も終わりました。
私は『3人家族』のTV放送の翌年に結婚しましたが、『二人の世界』が放送の頃はテレビが買えず見ていません。今回の再放送で栗原小巻さんがハツラツとしていた姿が印象的でした。
by mineraltaka (2013-10-14 10:07)
早とちりです。25話、26話が残っていました。失礼しました。
by mineraltaka (2013-10-14 10:12)
mineraltaka 様
全部観てしまうのが惜しくて、第1話から観直したりして
先日ようやく第25話を観ました。
近日中に記事にしようと思っています。
by k_iga (2013-10-14 23:44)