冬物語 その12 [冬物語]
(第ニ十ニ話:残された時間)
今日は純二が宗方物産の社長に就任するパーティの日。
だが純二は良之の手術決定について医師たちと議論を詰めていた。
手術は明日に決定した事を信子が告げに行く。
「もう一度、一日でも一時間でも、君の顔をこの目ではっきり見たい。
その為なら、もっと、全てを賭けていいぜ」
「お願い。私の顔を忘れないで。
私の髪も目も鼻もくちびるも忘れないでお願いだから・・・」
時間が無い、と嘆く良之。
「あたし、どうすればいいの?」
「俺のささやかな望みを叶えてくれるか? よし、じゃあさ、明日八時にここへ
来てくれ。 万事はそれからだ」。
「もし誰かに見つかったら?」
「だいじょうぶだいじょうぶ、そんなビクビクしないビクビクしない」
「やってみるわ」
「よし・・・。(キスして)ホントおまえバカだな」
「あなたがバカにした」
「バカだから好きなんだ」
病室を訪ねて来た植村は手術が明日と聞いて驚く。
良之は植村と信子に、純二のパーティに顔を出すように勧める。
「そりゃ、パーティーなんて下らんと思うけどさ。
彼は彼なりに、俺とは違った修羅の道を踏み始めた。
知り合いはその出発を見届けてやるべきだと思う。」
「信子さん、私この頃思うのよ。
平凡な事だけど、やっぱり人生って取り返しが効かないって。
この年になって、もう私は昔の自分に戻れないわ。
たぶんこのまま人を裏切り続けていくと思うの。それが実は自分をも裏切ること
だって事が分かりながらもどうにもならないのよ。
悔しいけどこれはもう私の決められた人生。
そんなふうに思うとね、今まで不幸な人だと思っていた信子さんのことが急に
うらやましく 思えて来たの。
・・・でもね何もかも私には遅すぎたのよ・・・」
「アニキに伝えて。順子が手術の無事を祈ってるって」
「君は乾さんに会わないつもりか?」
「ええ」
「痩せ我慢を張るのはよしたまえ。乾さんは、明日、手術するんだ」
「純二さん、会わない事もひとつの愛なのよ。
あなたそう言ってらしたでしょ?」
非常口から抜け出した良之は花の香りに気づく。
「こんな冬にも花、咲いてるのか」
「きれい・・・名前は知らないけど白い花がいっぱい」
「白い花か・・・」
今日は純二が宗方物産の社長に就任するパーティの日。
だが純二は良之の手術決定について医師たちと議論を詰めていた。
手術は明日に決定した事を信子が告げに行く。
「もう一度、一日でも一時間でも、君の顔をこの目ではっきり見たい。
その為なら、もっと、全てを賭けていいぜ」
「お願い。私の顔を忘れないで。
私の髪も目も鼻もくちびるも忘れないでお願いだから・・・」
時間が無い、と嘆く良之。
「あたし、どうすればいいの?」
「俺のささやかな望みを叶えてくれるか? よし、じゃあさ、明日八時にここへ
来てくれ。 万事はそれからだ」。
「もし誰かに見つかったら?」
「だいじょうぶだいじょうぶ、そんなビクビクしないビクビクしない」
「やってみるわ」
「よし・・・。(キスして)ホントおまえバカだな」
「あなたがバカにした」
「バカだから好きなんだ」
病室を訪ねて来た植村は手術が明日と聞いて驚く。
良之は植村と信子に、純二のパーティに顔を出すように勧める。
「そりゃ、パーティーなんて下らんと思うけどさ。
彼は彼なりに、俺とは違った修羅の道を踏み始めた。
知り合いはその出発を見届けてやるべきだと思う。」
「信子さん、私この頃思うのよ。
平凡な事だけど、やっぱり人生って取り返しが効かないって。
この年になって、もう私は昔の自分に戻れないわ。
たぶんこのまま人を裏切り続けていくと思うの。それが実は自分をも裏切ること
だって事が分かりながらもどうにもならないのよ。
悔しいけどこれはもう私の決められた人生。
そんなふうに思うとね、今まで不幸な人だと思っていた信子さんのことが急に
うらやましく 思えて来たの。
・・・でもね何もかも私には遅すぎたのよ・・・」
「アニキに伝えて。順子が手術の無事を祈ってるって」
「君は乾さんに会わないつもりか?」
「ええ」
「痩せ我慢を張るのはよしたまえ。乾さんは、明日、手術するんだ」
「純二さん、会わない事もひとつの愛なのよ。
あなたそう言ってらしたでしょ?」
非常口から抜け出した良之は花の香りに気づく。
「こんな冬にも花、咲いてるのか」
「きれい・・・名前は知らないけど白い花がいっぱい」
「白い花か・・・」
いつも有難うございます!!
22話はとても感動的なシーンが多かったですね
良之が信子の顔をもう一度見たいから手術すると言った時は泣けました
手術を受ける決意をしたのも「生きたい」と思っている現れですね
植村や信子に純二の社長就任パーティーに出席する様に促すところは皆に心を開いたのがわかりますね
折角わかり合えたのに、、、
絹子が信子に初めて自分の弱さをみせたのは、植村に吐露したからというより先の見えない良之との愛を貫ぬく信子に自分が成し得なかった女としての強さに共感をしたのかも知れないと感じました。
病院脱走の約束の時、良之が「バカだから好きなんだ」と言って信子を抱き寄せるところ…
すっごく好きなシーンです♥♥♥
芳雄さんならではの演技?ですね
とてもhappyな気分になりますが、その影で順子が辛い想いをしているのは何とも切ない気持ちです。
人々の心の描写がとても上手く描かれていますね
いよいよ明日は最終回、、、 たまらなく淋しいです、、、
by kimi (2012-10-28 19:40)
> kimi さん
大鹿村はいかがでしたか?
いよいよ最終話ですね。
何だかドキドキしています。
12月には一挙放送があるみたいですね。
by k_iga (2012-10-29 03:33)
大鹿村、とっても良かったですよ!!
お天気も良く、紅葉も見る事が出来て「大鹿村騒動記」ロケ巡りをしてきました。 他にも撮影中芳雄さんが宿泊していた旅館や善ちゃん桜の植樹の成長を見てきました。
景色は抜群、食べ物も美味しく人々がとても親切で温かい村です。
映画のまんまです
今度は是非大鹿歌舞伎を見てみたいと思います。
至る所に芳雄さんが居て(写真等)幸せでした~♥
今夜は「冬物語」最終回 気合が入ります!!
by kimi (2012-10-29 15:44)
終わってしまいましたね、、、(泣)
静かにそっと死を迎えたのがとても、とても悲しかったです、、、
子供の頃の夢の話は芳雄さんご自身の事ですね
紙の屋根の家、歌手になってお金を稼いでちゃんとした家が欲しい…
のど自慢に出て鐘が一つで落ちて香水と化粧品を貰ったとか
機械が苦手だったのに機械を扱う仕事をしたとか、、、
やっぱり良之は芳雄さんだったのかな、、、
今、放心状態で言葉がみつかりませんm(_ _)m
最後に長く続く線路を信子と浩がよろめきながら歩く姿は
これからの二人の人生なのでしょうか、、、
by kimi (2012-10-30 00:27)